読み書き

読んだものについての覚書

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』(早川書房/リチャード・ロイド・パリ―〈著〉/濱野大道〈訳〉)

英語の原題は『Ghost of the Tsunami: Death and Life in Japan's Disaster Zone』。 どうして自分がこの本を選んで買ったのか、その具体的な切っ掛けは記憶にも最早定かでないが、あの震災にまつわる心霊譚に興味があったからなのは確かだと思う。心霊譚と…

『映画とは何か 上・下』(岩波文庫/アンドレ・バザン〈著〉/野崎歓、大原宜久、谷本道昭〈訳〉)

「映画とは何か」と問う。それは、「映画が映画である為に必然の条件とは何か」という問いだろう。つまり、映画の存在論。そしてその論述は、具体的には映画と映画ならざるものとの相似と差異についての議論を通して、それをあきらかにしていくことになる。…

『考える短歌 作る手ほどき、読む技術』(新潮新書/俵万智)

「短歌」と言えば、五七五七七の三十一文字で綴る詩歌、というくらいのことしか知らない。日常に使う言葉をたんに語呂合わせしてもその形にはなるから、それが詩歌になるためには歌われるべき何かが必要だということになる。その何かをこの本では「心」と呼…